睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に呼吸が一時的に止まってしまう病気です。特にここでは睡眠中に気道が閉塞することで無呼吸状態になる閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)を取り上げます。肥満、アデノイドなどによる扁桃の肥大、先天的に顎が小さい、舌が大きいといった原因によって起こります。
多くの方はパートナーに無呼吸を指摘され、日中の眠気も感じています。
他には起床時の頭痛やひどい方は失禁症状も認めます。長期的には不整脈や突然死とも関連しているとされ、可能であれば解消したい疾患です。
OSAS治療の中心となるのはCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法、通称シーパップ)です。鼻に装着したマスクから圧力を加えた空気を送り込むことによって気道に圧をかけ、気道の閉塞を取り除く治療法です。中等症から重症の場合にとても有効で最も重要な治療法となっています。
CPAPの使用には簡易検査または精密検査で一定の重症度であることが必要ですので、症状のある方はいちど検査を実施します。
当院では初診時は軌道閉塞の原因が他にないか診察をします。甲状腺機能異常症状による巨舌や気道閉塞が懸念される場合は血液検査やエコー検査を行います。その後自宅に簡易検査キットを郵送し、睡眠時無呼吸の診断および重症度評価を行います。CPAP療法の適応に該当する場合は自宅での導入を行い、以降は診療へ移行します。
当院の睡眠時無呼吸治療
当院は睡眠時無呼吸の治療にも力を入れています。
睡眠時無呼吸の治療は様々ありますが、結局のところCPAP(睡眠時無呼吸症候群のポータルサイト)に勝るものはないと思います。
筆者(院長)も小学生から無呼吸があり、よく母親に体をうつ伏せにひっくり返されていました。医師になりCPAPの存在を知り、(今は都合で中止していますが)使用しその効果を実感しております。
睡眠の質が全く異なるのでいびきや無呼吸でお困りの方はぜひトライしていただきたいです。
睡眠の質の向上は仕事のパフォーマンス向上だけでなく、居眠り運転などによる死亡事故を減らします。また、高血圧や不整脈などの心臓血管関連のイベントも減少させ健康に寄与します。
診療のフローチャートは下図のようになっています。
最終的なゴールは「CPAPを使う」です。
①問診、眠気の問診/診察(心臓、扁桃、顎、甲状腺など)
当院に来られる方の来院理由は以下のことが多いです。
- 日中の眠気
- 強い疲労感
- 起床時の頭痛
- 無呼吸発作
- 夜間頻尿
- 難治性高血圧
- 夜間不整脈
- パートナーに無呼吸を指摘される
無呼吸というと肥満症と関連している印象を持つ方が多いとおもいますが、子供でも起こり得るため、一概にはそうとは言えません。体型が正常でも顎が小さかったり、扁桃が大きかったりと無呼吸になる理由は様々です。
当院では初回は心臓、扁桃、顎、甲状腺など診察を行います。稀ですが甲状腺腫瘍による気道閉塞が原因でいびきが悪化した方や、甲状腺機能低下症による舌腫大で無呼吸が誘発された方も拝見したことがあるからです。すでに高血圧や心不全をお持ちの場合は現段階での心臓への負担を評価します。
※独身の方は無呼吸があるか事前に録音することおすすめします(いびきラボ-いびき対策アプリ)
※お子様のいびきはスマホでの録画をお願いしています。
②無呼吸検査(簡易or精密キットを自宅へ郵送)
当院で手続きをし、自宅に検査キットが発送されてきます。
簡易検査(自己負担3000円程度)では無呼吸指数40以上、精密検査(自己負担15000円程度)では無呼吸指数20以上でCPAP使用の適応となります。
かなり重症な方は簡易検査でも規定の無呼吸指数を満たしますが、微妙な場合は精密検査を推奨します。(ご予約はこちら)
③無呼吸指数が基準値以上であれば自宅でのCPAP療法開始
④以後、月1回診察
企業を介して機器をレンタルする形となり、自己負担は5000円/月ほどかかりますがマスクや機器のサポート体制は万全です。レンタルには月に1回の診察が必要です。
⑤合併症の改善効果確認
- 高血圧、慢性心不全など合併症の改善具合を評価
- 効果に乏しければ薬剤治療を併用
時折CPAPの使用で難治性であった高血圧が改善することを経験します。
マスクのフィッティングや鼻が乾燥するなど最初は苦労しますが、とても良い治療なのでぜひ続けて使用してみましょう。