腎臓は生体内で浄水器のような役割をもっています。血液は腎臓に流入し、濾過されます。余分な水分や塩分は尿として排泄され、蛋白は身体に戻されます。したがって、からだの浮腫みや尿蛋白、血尿は腎臓病のサインです。血液検査ではクレアチニン(Cr)という代謝物の測定から腎機能を推定します。
急性腎不全は免疫関連の病気や体液減少を来す病気、薬剤性が原因であることが多く、免疫抑制剤の治療や輸液療法の検討が必要であるため急を要します。慢性腎臓病は高血圧や糖尿病など他の生活習慣病に因ることが多く原疾患の治療が必要です。
当院ではまずは身体診察、エコーで腎臓サイズや嚢胞の数を確認、さらに血液と尿の精密検査を行います。その結果、急性が疑わしい場合は高次医療機関で腎生検を検討します(当院からご紹介します)。一方で慢性腎臓病と分かった場合は、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の治療を見直し強化します。また、近年腎機能低下の進行を遅らせる効果がある薬剤(SGLT2阻害薬)も登場しており、当院の外来でも導入をしております。
さらに重要なのが、慢性腎臓病の方は薬剤の排泄機能が低下していますので、薬剤量が合っているか確認をします。当院では迅速の血液検査機でCrを測定し、検査から投薬までの通院が一度で済むように設計しています。
腎臓病診療フロー
当院では次のようなフローで腎臓病診療を行っております。
各フローの詳細
①問診、腎機能経過確認、診察(心臓聴診、浮腫など)
患者さんは健診での腎機能・尿異常、尿の泡立ち、浮腫みなどで来院されます。
浮腫は心不全や下腿静脈瘤、甲状腺疾患でも認めるため、詳細に診察します。
②血液検査、尿検査、腎エコー
血液検査では腎機能そのものや腎機能を増悪させる因子である膠原病のスクリーニングを行います。
高齢の方の場合は多発性骨髄腫による腎障害の可能性もあり、骨髄腫のスクリーニングも行います。
尿検査では顕微鏡で尿中赤血球の異常を確認、蛋白の定量化を行います。
腎臓の形を確認し皮質が薄くなっていないか、嚢胞がないかなど腎エコーで確認します。
初回は少し時間をかけて行い、費用自己負担は5,000-10,000円程度です。
③【腎生検が不要な場合】ARB、SGLT2阻害剤投与/1~3か月間隔でフォロー
腎生検が必要でない場合は当院でフォローします。
使用できない場合もありますが、CKD増悪予防効果が認められているACEI/ARBやSGLT2阻害剤を使用し経過観察します。当院では院内迅速検査で腎機能を測定するため、10-20分程度で済みます。
④【腎生検が必要な場合】大学病院など紹介
血管炎、ネフローゼ症候群、活動性の高いIgA腎症など腎生検のうえ免疫抑制剤を使用すべきと判断した場合は大学病院などの高次医療機関をご紹介します。