通常生体内では「自己」と「非自己」をわけて自己を攻撃しないよう制御しています。
この免疫機構が破綻し本来無害である外来異物に反応し、有害な免疫反応が起こることをアレルギーと呼びます。また、その外界からやってくる異物を抗原と呼びます。例えば花粉や食物に含まれる成分が該当します。
アレルギーには抗原が侵入してすぐに起こる1型アレルギーから、暴露から時間を経てから生じる4型アレルギーまで存在します。
気管支喘息、花粉症、食物・金属アレルギーが代表疾患です。近年様々な治療法が登場し、仕事や学業に支障を来さないようにすることが可能です。

当院のアレルギー診療

花粉症/季節性アレルギー

成人の花粉症と小児の花粉症は若干治療の意義が異なりますが、以下のようなアルゴリズムで診療を行っております。

花粉症/季節性アレルギーのアルゴリズム

①診察で合併症確認

まずは問診、診察です。
小児ではアレルギーマーチの完成を防ぐために、アトピー性皮膚炎の合併や気管支喘息の合併を確認します。それらがあれば積極的に治療しに行きます。
食物アレルギーの合併が明らかな場合は血液検査をしますが、そうでない場合は積極的には血液検査を実施しません。
なぜなら、血液検査で特異的IgEが陽性であって即アレルギーの診断とはならないからです。
よく花粉症の診療で数十項目の血液検査を実施され、小麦や卵もアレルギーですねと言われて心配されている方のご相談を受けます。これは「感作」と言って食物や花粉に対する抗IgE抗体が作られていることの証明ですが、=アレルギーではないので、患者さん(特に保護者さん)を不安を煽るような検査は推奨されません。結構値段も高く、患者さんには意義のある検査をしたいですね。

③抗アレルギー薬

そして仕事や学業面でのQOLを高めるために抗アレルギー薬(±点眼、点鼻薬)を服用します。

④効果、眠気の確認

効果があれば花粉シーズン中は服用します。
初回は効果と副作用確認で1か月ほどの処方ですが、慣れてきたら長期処方へ移行します。

⑤血液検査(好酸球/IgE評価) ※効果が不十分な場合

③の治療でもくしゃみ、鼻汁(鼻閉)、結膜炎症状が顕著な方でさらにステップアップした治療を希望される方は血液検査を実施します。非特異的IgEが上昇している方は舌下免疫療法や抗体製剤の適応となります。

⑥治療強化 ※効果が不十分な場合

舌下免疫療法はシーズンオンオフにかかわらず花粉成分を体内に積極的に取り入れることで症状の波を抑える治療です。小児ではシーズン毎に鼻炎を繰り返すうちに慢性鼻炎が完成したり、軽い咳嗽だったのが気管支喘息に移行してしまう可能性があり、積極的に導入すべきと考えます。
抗体製剤(ゾレア®)は12歳以上の適応になります。抗アレルギー薬でもコントロール不良で、かつ非特異的IgEが高値の場合に適応となります。
当院では前述の診察ステップを踏むため、通院3回目から投与となります。他医療機関で投与ののち転医希望の方は、投与前のデータの持参をお願いしています。