- 3月 2, 2024
腎とエコー
結論を先に書くと「腎臓と尿の値が悪化したら必ず腎エコー」です。
腎臓は背中側に2対ある臓器で、以下の役割を担っています。
①老廃物を尿に排泄
②血圧をコントロール
③体液(水分、ミネラルバランス)を調節
④造血を促進
⑤骨を強くする
①~③はなんとなくイメージできますが、④⑤は学生時代に習ってもピンときませんでした。
①の機能の指標として、血液検査では「クレアチニン」または「シスタチン」という項目を検査します。簡単に言うと老廃物の指標なので、クレアチニンまたはシスタチンが高値であることは腎機能の低下を意味します。
もしその値が高い場合は、我々は次にいつからその値が高いのかが気になります。
10年間変わらなければ今後も変化しないことが想定されますし、3か月前は正常だったのであれば比較的急性の経過で腎機能が悪化していることになります。しかし、自分の腎機能がどの程度か覚えている方は少ないと思います。
そこで腎エコーの出番です。
写真(上)は正常の腎臓、(下)は慢性腎臓病の腎臓です。
腎皮質と呼ばれる外側の黒い層が薄くなっていることがわかりますが、この皮質が薄いと腎機能障害の歴史が長いことが示唆されます。
逆に、腎機能低下や尿検査異常があるのに皮質がまだ厚みがある場合は、腎障害が急でありしかも可逆的である可能性が高いです。(例外的に糖尿病性腎症や腎リンパ腫などの場合は腫大します)
また、腎エコーで多発性嚢胞腎や腎がんが見つかることがあります。(写真は多発性嚢胞腎のCT画像)
腎の未来が変わる可能性があり、エコーは欠かせない検査です。