• 8月 4, 2024

小児生活習慣病予防健診の意義

小児生活習慣病予防健診のポイント

①標準体型だから受けなくていいわけではない。
②家族歴が濃厚なら積極的に受診
③脂質異常は早期発見、早期介入

小児生活習慣病予防健診は診察以外に血液検査を行います。
項目は肝機能(AST,ALT,γGTP)、糖(Glu)、脂質(TG,TCHO,LDLC,HDLC)です。

今回は小児で見つかる脂質異常症について深堀りします。
小児は成人と異なり、生活習慣の悪化や体重増加によりすぐに脂質異常症になることはなく、遺伝的な要素が大きく関与します。
小児期にスクリーニングしたいのは「家族性高コレステロール血症(FH)」です。
FHは、低比重リポ蛋白(low density lipoprotein:LDL)受容体およびその関連遺伝子の変異による遺伝性の疾患で、高LDLコレステロール(LDL-C)血症を呈します。このため動脈硬化性疾患の発症リスクが高く、小児期からの早期診断および早期介入が重要となります。筆者も20代で心筋梗塞を発症した方を見たときは驚きました。

小児FHの診断基準は以下の表のようになっています。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

                                                                                                                                                                                             

表から読み取ると、ご両親のどちらかが発症時LDLC>180の場合や、早発(男性55歳、女性65歳未満)で心筋梗塞を発症している方場合は子どものFHスクリーニングが必要であることが分かります。
治療又はフォローアップは以下のようなアルゴリズムで行います。

生活習慣の改善による効果が十分でない場合には、10歳以上ではLDLC≦180mg/dLを目標に薬物療法開始を考慮します。FHの疑いがあるもののLDLCが140~180程度の場合は、定期的な血液検査の評価
を行います。

繰り返しになりますが、「家族性高コレステロール血症(FH)」は体型は関係ありません。
将来の冠動脈リスクを低減させるため、夏休みを利用して小児生活習慣病予防健診を積極的に受診しましょう

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